星くずを数えながら朝を待ったこの海
初めて 娘を「たかいたかい」したのがこの海
友人が開けた幌に浜風の心地よさを感じたのがこの海
あいつと一緒に波を数えたのがこの海
あのコに贈るために何日もシャッターを切ったのがこの海
海にいて ウエット着て 「波が来ないなぁ」と見上げればきらきらの太陽
懐に帰って来る夏
さんざん波と遊んで紫煙を上げて
ふと 波の向こう側を仰げば
足下に ころころと こおろぎの声
秋だな
「今」の大切さを
痛いほど教えてくれたきっかけとなったこの海沿いの町
6度目の秋が来た
あの頃と変わらない
この海
僕も鳴こう
こおろぎに負けずに